2015シーズンより「Challenge1」を合言葉に、平均入場者数1万人を目指し、皆さまにもご協力をいただきながら様々な取り組みを行ってまいりましたが、目標を達成することはできませんでした。そこで、2016シーズンの「Challenge1」について、記者会見を行いました。
■「Challenge1」について木村代表のコメント
「本日はお集まりくださいまして、誠に有難うございます。いよいよホーム開幕を迎え、今年もChallenge1を実施させていただきたいと考えております。
まず、皆さまにお見せするフットボールの話をさせてください。ファジアーノとして追及してきている3つのチームコンセプトとして、(1)最速の切り替え、(2)最大限の走り、(3)最高のコミュニケーションを、今年も実現させていきたいと考えています。もちろん相手があるスポーツなので難しさはあり、昨年も多くのお叱りをうけたのですが、どこよりも、いついかなる時も、という言葉が今年から加わり、より魅力的なサッカーを目指していきます。また、長澤監督から『プラス10』を意識していくと新体制発表会で話をさせていただきました。こちらもより魅力的なサッカーを実現していくために、今年意識していくつもりです。
その上で、今年もChallenge1を実施させていただきたいと考えております。何か変化はあるのか、クラブの営業目標を聞かされても、という部分もおありかと思います。これを言っては元も子もないのですが、昨年達成できなかった事で、クラブとしてはここが限界ではないかという強い焦燥感があります。もちろんチームは魅力ある試合を続けねばなりませんし雨の試合が減るだけで大きく違うのですが、昨年のChallenge1を通じて、平均入場者数1万人を達成するには、クラブだけの力だけでは難しく、色々な力が必要になってくると痛感しました。例えば、サポーターの皆さまにはご友人や職場の方などを誘っていただき、大変ありがたいことに年間を通じて約9,000人以上の方をスタジアムに誘っていただきました。それでも、目標には届きませんでした。最初に厚かましいお話ですが、どうか、今日お集まりのメディアの皆さまにも、状況をご理解をいただき、お力をお貸しいただきたいと切にお願い申し上げます。
なぜ1万人か、というのはいくつかの理由があります。1つは、更なる資金力です。どうしても一番大きい収入であるスポンサーに目がいきがちですが、入場者数とグッズ収入を足すと3億円でスポンサー収入の65%になります。この両者は相関係数が高いため入場者数が増えるとグッズ売上も増え、これが安定した強化資金になり、より戦力を充実させ得ることになります。営業目標に映ってしまうのは否めないのですが、クラブは必要最低限の経費を頂いたあとは、全て選手獲得予算にまわしており、配当も一度も払ったことはありません。1万人はクラブのエゴに見えるし仕方のない部分もあると思いますが、そこで得た収入は確実に皆さまや地域の喜ぶ可能性に還元されています。同じエンタテイメントでも(利益のための活動か、事業そのもののための活動か、という点で)、テーマパークや映画とは、一線を画すると思っています。
また、2つ目は、昇格後に目指す到達点をより高くするための、1万人だと考えています。1年でも早くJ1に昇格したいのですが、昇格したらその次の世界が待っています。J1で3位ないしは4位に入るとACLに出れますし、多くの方がそれを期待されるでしょう。ホームタウン同士の国際決戦であるこのステージに、将来何としても立ちたいと考えています。もちろん昇格したら入場者数や配分金は確実に上がるのですが、J2時の土台や発射台が高 ければ高いほど、J1に上がった後の到達点が高くなります。現在J1の平均観客は17,000人で、J1でその平均値ぐらいの動員力を持つクラブがJ2に降格した際の動員は10,000 人から12,000人です。例えばG大阪、C大阪はJ2時に12,200人、神戸は11,500人でした。松本はJ2時に12,000人入っており、昨年J1で8回完売になっています。現在のファジアーノのスタジアムキャパは16,500人と考えていますが、J2で平均10,000人動員できていればJ1で頻繁に完売御礼となり、その先、例えばサッカー専用スタジアムの道のりが開け、やがて平均25,000人、あるいは30,000人となると、クラブとして大きく次のステップに到達することが可能になります。逆に言うと、J2で8,000人前後だと、J1に上がっても平均は12,000人前後となり、クラブの限界がそこで来てしまうと考えています。
そして、3つ目は、この街にできたプロクラブであるので、県民の皆さまには人生の一度は、あるいは年に一度は来て欲しいと希望しています。これは完全にクラブの片思いなのですが、スタジアムで『岡山』と住んでいる街の名前を叫び、顔の知らない方と生む点を取った時や勝利時の一体感は、地元のプロクラブでこそ体験できるライブ感です。これこそがお金を超えた喜びであり、衣食住には関係ありませんが、街にプロクラブがある喜びだと考えています。年に一度は、あるいは一生に一度は、県民の皆さまにスタジアムに訪れて欲しい。時々話題にする、広島カープのような存在を目指したいと考えています。これまで就任以来300回前後講演に呼んでいただきましたが、必ず、県民力を総結集したいのです、と言い続けてきました。1人でも多くの方に興味を持ち、関わっていただきたいと考えています。
最後に、一番大きな理由は、将来、日本一の市民クラブになりたいということです。これはこの10年間この街の各般各層の方や、ファン・サポーターの皆さんとスタッフが色々な場所で話をお聞きしていく中で、皆さまがファジアーノに期待する、あるいはこうなって欲しいというものは、やはり自慢できるような、そして県民皆から愛されるクラブになって欲しいというものでした。日本一というのには強さもあるでしょうし、人気もあるでしょうし、街の盛り上がりもあるでしょう。ではそれをどう数値化していくかとなると、これが難しく、もちろんトップチームの順位はそうなのですが、人気の指標としては、視聴率、入場者数、ファンクラブ数、あるいはクラブ総収入になってきます。ある意味この4つの数字を4本柱として強調しても良いのですが、クラブへの直接関与の度合いが高く、また誰もがWATCHできる数字ということで、入場者数に絞るのが良いのではないかと考えました。1万人というのは、キリのいい数字で、『今日1万いったん?』というのが勝敗と共に街の話題になりたいと希望しています。また、2008年は、『今日勝ったん』の後に続く『今日何人入ったん?』。平均3,000人のノルマを達成しなければJリーグ入会が認められないため、最後の試合まで勝敗と共に入場者数が街の話題になり、それがクラブの力を押し上げ、選手の力になりました。あの時にファンやサポーターの皆さま、メディアの皆さまがどれだけ動いてくださったか、感謝してもしきれませんし、あの時を上回るうねりをもう一度、と考えています。
もちろん1万人動員したからJ1が約束されている訳ではありません。しかし毎年J2からJ1に昇格する3クラブの平均入場者数が1万人を超えていること、くどいですが一昨年の松本は皆さまの記憶に新しいと思います。また、戦力を担保する資金力の増加、地域と一体となれるクラブの目標を考えると、J1に最も近づくために我々が、ひいては市民県民の皆さまにお願い相談できる事は、Challenge1だと判断しました。県民力総結集と生意気を申し上げていますが、興味がある方もない方も、どこか心の隅で応援していただけると嬉しいです。経営指標で申すと、1万人は、そのためのKPIになりますが、皆の共通の目標にさせていただければと願っています。長い話になりましたが、クラブとしての考えを、申し上げました。どうぞ、宜しくお願い申し上げます」
■2015シーズンの振り返り、成功しているクラブとの相対評価と2016シーズンの取り組みについて
こちらをご覧ください。